食品製造にかかわる商品開発担当者・研究者のための情報サイト

powered by 群栄化学工業株式会社

糖Lab.トピックス

食品開発・研究に役立つコラムを配信しています。

アイスクリームの原料と基本的な役割

研究開発

2020.07.07 written by GCI

アイスクリームの独特の味や食感は、さまざまな原料が使用されることで実現されています。
今回は、アイスクリームに使用される原料とその基本的な役割についてのお話をしたいと思います。

 

以前、「アイスクリームの分類」についてのコラムを掲載しましたが、アイスクリーム類は「乳成分の量」により、「アイスクリーム」、「アイスミルク」、「ラクトアイス」、「氷菓」に種別されています。
以下、4種別のアイスクリーム類を「アイスクリーム」と総称し、一般的に使用されている各原料について話していきたいと思います。

 

【乳原料】
<牛乳、クリーム、バター、濃縮乳、加糖れん乳、全粉乳、無糖れん乳、加糖粉乳、脱脂粉乳など>

 

乳製品は、アイスクリームを製造する上で切り離して考えることのできないくらい重要なものです。
乳製品は乳脂肪、無脂乳固形分、灰分、水分などを基本的な成分として含み、アイスクリームの骨格を形成する上で重要な役割を果たします。
無脂乳固形分中の乳タンパク質は、アイスクリーム製造工程の均質化時に乳脂肪球を包み込む膜となり、さらに、安定な気泡と良好なエマルジョン(水や油が、微細な液滴となって他相の中に分散した状態)を形成する上で不可欠な成分です。

 

【糖原料・甘味料】
<砂糖、水あめ、異性化液糖、ぶどう糖、乳糖、果糖、オリゴ糖、高甘味度甘味料など>

 

アイスクリームのおいしさを決定づける要因の一つである「甘い(甘味)」という感覚は、糖原料や甘味料によって付与されます。
アイスクリームの甘さ(甘味度)は、ショ糖換算で14~16%が一般的ですが、商品コンセプトによって変えることもあります。
甘味度は、一種類の糖原料や甘味料を使用するよりも複数組み合わせえた方が高くなります。
このような甘味の相乗効果が現れる現象を対比現象といい、メーカーごとで数種の糖原料や甘味料を併用しています。
糖原料は甘味の付与だけでなく、アイスクリームの物理的な性質(食感や保形性)にも大きく関わっています。
特に、分子量が小さい単糖類や二糖類では、アイスクリームミックス(凍結前の原液)の氷点降下をもたらす作用があります。
つまり、単糖類や二糖類の配合が少ないと硬いアイスクリーム、配合が多いと柔らかいアイスクリームになります。
ただ、単糖類や二糖類を多く使用し過ぎると保形成が悪い(溶けやすい)アイスクリームになってしまうため、注意が必要です。
なお、氷点降下の度合いは糖類の種類やその濃度に決定づけられるため、求める食感により調節が必要になります。
また、多糖類を含有している糖原料(水あめ、オリゴ糖など)を使用すると、アイスミックスに粘性が付与され、保形成が向上します。

 

【脂肪原料】
<植物性油脂(パーム油、ヤシ油、なたね油)など>

 

脂肪は、舌触りの感覚に重要な役割を果たしています。
植物性油脂は、種別の「アイスクリーム」への使用は禁止されています。
植物性油脂は、乳脂肪が「アイスクリーム」よりも少ない「アイスミルク」や「ラクトアイス」に、乳脂肪の代替として使用されています。
そのため、使用する植物性油脂は、乳脂肪と融点が類似するものが好まれてます。

 

【卵原料】
<全卵、卵黄、卵白、それらの乾燥品や冷凍品など>

 

卵黄は乳化剤として機能するレシチン(ホスファチジルコリン)という成分を多量に含んでいます。
レシチンは、乳脂肪の乳化安定性に大きく寄与するため、特にバターなどを原料に用いた高脂肪のものに使用されます。
また、卵白は優れた起泡性を有するため、オーバーラン(空気の含有率を示す指標)を向上させる目的で使用されます。
昔は、アイスクリームをつくるために卵原料は必需品でしたが、現在は乳化剤や安定剤が多く出回るようになってきたため、使用されていない製品も多くなりました。

 

【乳化剤】
<レシチン(ホスファチジルコリン)、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド)など>

 

乳化剤としては、グリセリンに脂肪酸が結合したモノエステルである、モノグリセリン脂肪酸エステルが多く使用されます。
乳脂肪は、アイスミックス中に細かい粒子の固体として浮かんでいる状態であり、この状態のまま凍結してしまうと、アイスクリームの組織が不均一になり、食感が損なわれてしまいます。
乳化剤は、アイスクリーム製造の均質化工程で、アイスクリームミックス中の脂肪球の分散(乳化)を助け、アイスクリームの組織を均一にする働きがあります。
また、乳化剤を添加することで、フリージング中の起泡性を高め、微細で安定性のある泡沫状態が形成されます。

 

【安定剤】
<ゼラチン、カラギーナン、寒天、グアガム、アルギン酸ナトリウムなど>

 

安定剤は、アイスクリームの粘性を高めて、成分を均一に安定化させることを目的に使用されます。
安定剤を使用することで、アイスミックスに適度な粘度が付与され、オーバランが向上し、滑らかな組織が形成されます。
さらに、輸送中や販売陳列中における型崩れの防止、長期保存中にアイスクリーム中の氷晶を微細に保つなどの役割を担っています。

 

【香料】
<バニラビーンズ、柑橘類、果実のアルコール抽出物またはエッセンスなど>

 

香料は、アイスクリームに特有の好ましい風味(香り)を付与する目的で使用されます。
香料としては、水溶性香料や油性香料などがありますが、アイスクリームの大部分には水溶性香料が使用されています。

 

【着色料】
<β-カロテン、アトナーなど>

 

着色料はアイスクリームに特有の色味を付与し、消費者の購買意欲を刺激する目的で使用されます。
着色料としては、天然着色料と合成着色料がありますが、消費者の健康志向の高まりとともに、天然着色料の使用が多くなっています。

 

【その他】
<ストロベリー・ブルーベリーの果汁・果肉、いちごジャム、チョコレート、ココア、ラムレーズン、抹茶、小豆餡、可食容器(もなか皮、コーン類等)など>

 

種々の果汁は、アイスミックスの調合時に混合され、風味や色調を表現するために使用されています。
チョコレートなどの固体は、アイスミックスの調合時に添加される場合と、フリージング後、カップ等に詰める直前に添加される場合があります。
固体原料は、アイスクリームに味(風味)を付与するだけでなく、その原料特有の食感で特徴のある商品をつくるための重要な原料になります。

 

このように、アイスクリームには種々の原料が使用され、その製品の特徴を決定づける重要な役割を果たしていることがご理解いただけましたでしょうか。
乳化剤や安定剤などの食品添加物は、アイスクリームの味や食感を向上させる原料としてほとんどのアイスクリームに使用されています。
ただ、食品添加物を極力使用していない商品コンセプトのアイスクリームもありますので、アイスクリームを選ぶ際は商品パッケージを確認して見てください。
また、最近はバラエティー豊かなアイスクリームが増えており、カスタードケーキやティラミスのような洋菓子をイメージしたアイスクリームや、大きな餅がそのまま入った和風テイストのアイスクリームなども発売されてきています。

 

新しい原料(素材や食品)が新しいアイスクリームを生み出す鍵となる時代です。
アイスクリーム商品の「原材料」部分を見てみると、一風変わった原料が発見できるかもしれませんよ。

最新記事

カテゴリー